最近、「昭和の犬」(姫野カオルコ著)を読みました。
私が育った時期と重なっており、幼少期から絶えず傍らには
犬がいましたから。
犬猫と伴走しながら、戦後の昭和の時代が描かれています。
アメリカのドラマが新しい世界を見せてくれた頃です。
「宇宙家族ロビンソン」とかを夢中で見ていました。
ララミー牧場だとかインベーダーゲームなんて懐かしい言葉に惹かれて
読み進むと・・・
戦争の惨禍を知らず、平和な時代を生きてきたのだけれど、
時代の高揚感に覆い隠されて、過去の戦争の深い闇を
抱えていた時代のこと。
読み進みながら、しみじみとあの時代の負の遺産を背負わされた
父や母の世代のことを思いました。
昨年、被爆者であった母も亡くなり、今年の原爆死没者名簿に載ります。
被爆しながら悲惨な状況を目の当たりにしたひとたち。
その後の長い長い時間を母は辛くなかっただろうかと。
時代とともに運命を共にしたひとが、こうして少なくなっていきます。
そして、もう一冊。
認知症のお母さんとの日々を描いた岡野雄一さんの
「ペコロスの母に会いに行く」という漫画本。
背景には、長崎の戦前・戦後の様子がうかがえます。
精神を病んでしまった岡野さんの父上と、私の父は同じ会社で
同じ時代を築き上げてきました。
面識があったかどうかはわかりませんが、不思議な巡り合せを感じます。
作中うたわれている父上の短歌には、何か底知れぬ悲しみがついてまわります。
戦争というのは終わってから、更なる苦しみを塗り重ねるもの・・・
こんな時代であるからこそ、どうか再び過ちを犯さぬよう英知ある判断を
政治を行う方々に願います。